【懺悔してきた患者さん】
70代、女性。
主訴は「左膝の痛み」
歩行時、特に下り坂での痛みがあり、整形外科を受診。
一週間、「鎮痛剤と湿布」をするも、全く軽快せず跛行状態が続いた。
悩んでいたところ、知人の紹介で当研究室に来られました。
問診の際、「自宅が高台にあるので、足を取られたら、本当に困ります。絶望感で憂鬱になる日が続いています」という。
触診すると、頚椎は右にシフト。
右膝が痛くなかったかを尋ねると、以前痛かったが、激痛でもなく自然に治ったとのこと。
身体荷重の「バランスが問題」と判断したので、鍼療法と頚椎矯正を行いました。
術後、「痛みは90%以上なくなった!どうしてですか?」と連発して、お帰りになりました。
一週間後の再診。
患者さんが、長かったはずの髪を見事に「バッサリ」切って来られました。
私が「髪を短くされたんですね」と言うと、「先生に申し訳なくて、懺悔のつもりで切りました」との返答。
理由はこうでした。
初診の帰り、左膝に「全く痛みを感じない」ので、無駄にデパートに寄り道。
高台にある自宅への帰ち道も問題なく、嬉しさのあまり、孫の前で正座して、さらにスキップして見せたという。
翌日、高台からの下り坂も痛みはなく、職場の人にもスキップして見せたという。
ところが、、、
調子に乗って階段を「駆け下りた」際、勢い余って、足を踏み外し、あわや転倒。
腰と膝を捻ってしまったそうです。
「村上先生が、せっかく治してくれたのに自分の不注意で、元の木阿弥。懺悔と自分への戒めとして、髪を切った」そうです。
私は「大丈夫、この程度ならすぐ治りますよ」と慰めました。
痛みは再発しているものの、幸い軽傷で、施術後に痛みは「100%無くなった」言う。
「先生、今度はちゃんと養生します。もうこれ以上は、髪を切って懺悔は出来ませんから」と言うので、「かえって若々しくなって、良かったじゃないですか」と応えると、やや恥ずかしそうに笑顔を見せてお帰りになりました。